光トポグラフィー検査（NIRS）

光トポグラフィー検査は安全性の高い近赤外光を用いて頭部の血流量の変化を測定することで、脳の活動状態をグラフ化する検査です。変化パターンを波形によって《うつ病・双極性障害（躁うつ病）・統合失調症・健常》に分類し、総合的な診断に役立てます。
光トポグラフィー検査は、この検査単独で自動的に診断できるわけではありませんが、疾患の見逃しを防止し、診断をより確かなものに近づけ、また、治療者と患者様間の情報共有をしやすくするなど、広く役立ちます。

光トポグラフィー検査は、近赤外分光法（near-infrared spectroscopy：NIRS）という技術を用いた脳の検査です。脳活動に伴う大脳皮質の酸素消費の状態を計測することで、脳の活動状態を可視化します。

光トポグラフィー（NIRS）は、近赤外光がヘモグロビン（赤血球に含まれる赤い色素）に吸収されることを利用して血液量を測定する方法です。「近赤外線スペクトロスコピィ」「光脳機能イメージング」「fNIRS（functional NIRS）」などとも呼ばれます。

光トポグラフィー検査で使用する近赤外光は曇りの日の3分の1程度の弱い光を使用しており、人体には無害とされています。痛みなどもなく、検査によって体調に影響を及ぼすことはありません。
安全性が高いため幼児から成人まで検査可能です。

当院の光トポグラフィー検査は、12歳（中学生）以上が対象です。特に次のような方が多く受けられています。

• うつ病の治療をしているが、効果が実感できない
• 家族に説明するために、説明しやすい図表などがほしい
• セカンドオピニオンとして検査したい
• 気分の落ち込みなど、うつ症状を抱えている
• ストレスチェックで高ストレス者と判定された
• TMS治療（経頭蓋磁気刺激治療）を受けたい

光トポグラフィー検査を受ける際には以下の点にご注意ください。

• この検査の目的は、問診による診断をより確かなものに近づけることにあります。この検査だけで、精神疾患を自動的に診断したり、疾患の有無を証明したりするものではありません。
• この検査は治療ではありませんので、この検査を受けることで直接病状がよくなることはありません。
• 頭に専用装置を装着しますので、検査当日は整髪料のご使用は避け、かつら（ウィッグ）・エクステ・ヘアピン・ネット等の頭部装身具は検査前にはずしてください。
• まれに計測不良で判定が困難な場合があります。
• 検査結果は原則として当日お渡ししますが、遅い時間の検査は後日のお渡しになる場合があります。

光トポグラフィー検査は、トレーニングを受けた専門のスタッフが医師の指示を受けて行います。
検査は個室で行いますのでリラックスして受けることができます。
検査全体の所要時間は約15分です。

1. 

   機器の装着と検査についての説明

   頭部にプローブ（帽子型の専用センサー）を装着します。
   スタッフが検査方法をご説明いたしますので、検査方法についてご不明な点などがありましたら、遠慮なくご質問ください。

2. 

   検査開始

   検査をお受けいただきます。スタッフの指示に従って検査をお受けください。検査自体の所要時間は3分程度です。痛みなどはありませんのでご安心ください。

3. 

   検査終了

   検査終了です。
   医師の診察がありますので待合室でお待ちください。

光トポグラフィー検査は、6～8割の精度でうつ病・双極性障害・統合失調症・健常を判別する結果が出ていますが、精神疾患の有無や診断を証明するものではありません。疾患の見逃しを防止し、診断をより確かなものに近づけ、治療者と患者様間の情報共有をしやすくするなど、広く役立ちます。
例えば、うつ病の薬物治療を行ってもなかなか治療効果が出ない背景に双極性障害などが隠れている場合がありますが、光トポグラフィー検査の結果がその可能性を示唆することで、問診自体の精度も向上します。

• 検査結果は、原則として検査当日にお渡しします。再来院のお手間をとらせません。
  ただし、遅い時間の検査は後日のお渡しになる場合がありますのでご了承ください。
• 他の医療機関に通院中の方は、主治医用の検査結果のコピーを無料でご用意可能ですのでお申し出ください。

当院の光トポグラフィー検査では、厚生労働省に承認された機器を使用します。

※当院は自由診療（健康保険適用外）のため、全額自己負担となります。