ご家族やパートナーの気づき

ご家族やパートナーの変化に気づくことが大切

ご家族やパートナーの様子が最近いつもと違うと感じることはありませんか?
もしかしたら、何かしらのストレスを抱えていて、身体や心の不調がでているのかもしれません。
身近にいるあなただから気づいてあげられることがあります。

ご家族やパートナーにおけるうつ病の症状

うつ病へのご家族の対応

大切なご家族やパートナーの変化に、身近なあなたがなるべく早く気づくことが大切です。ではその変化を見逃さないためには、どのようにしたら良いのでしょうか。
日常生活において少しずつ症状の変化は表れますので、ポイントを紹介いたします。

  1. 第1段階日常生活における変化(パフォーマンスの低下)

    日常生活における変化(パフォーマンスの低下)

    日々の変化は身近にいても分かりづらいですが、少しずつパフォーマンスが落ちていきます。パフォーマンスというのは、日常の活動(たとえば、掃除にかかる時間、歩くスピードなど)すべてにわたる能力や行動のことです。なんとなくいつもの自分と違っていると思いながら気のせいだと判断して、本人は自分が病気であることにはまだ気づいていません。

    この時期には、よく眠れないという症状があります。

    • ・寝つきが悪くなる(入眠困難)
    • ・夜中に何度も目が覚める(中途覚醒)
    • ・明け方に早く目が覚める(早朝覚醒)

    のいずれかがみられます

    また、いやな夢を見ることもあります。
    現実的なものでは、職場で上司から叱責されている夢、あるいは誰かに自分が追い詰められたり、死骸などが体に降りかかるといった、非現実的でにおいや感触も伴った夢であったりします。さらに、昼間、突然ストンと眠りこけてしまう。大事な会議の時にでも、我慢できずに寝てしまうということもよくあります。

  2. 第2段階身体症状の変化(黄信号)

    うつ病により食欲不振が起きることがあります

    徐々に症状が悪くなっていくと、外から見ても分かりやすい変化が身体にみられます。例えば、うつ病になると2~3ヶ月で4~5キロ痩せてしまいます。原因は食欲不振です。食欲がない、食べるのが面倒臭いという症状や、微熱も多く見られる症状のひとつです。

    うつ病の原因は、うつ病になりやすい体質の人が、さまざまなストレスを感じ、脳内のストレス制御機構に不均衡を起こすことにあります。自律神経の状態が変化して、常に神経が緊張をしている、交感神経優位な状態になります。そのために体温が上昇することが多いのです。

    さらに、体のあちこちに痛みを感じます。最も多いのは頭痛といわれています。
    前頭部の違和感や、頭の中を押さえつけられるような感覚、偏頭痛タイプ、肩・首、後頭部とつながるような痛さ。歯を磨こうとすると、吐き気やめまいも起こるようになります。平衡感覚がなくなり、壁や物にぶつかったり、よろけたり、転んだり、けがをしやすくなります。

    また、体の重さ、疲れやすさを強く意識し、とくに朝の体のだるさ、布団から起きられないといった症状がみられます。このような朝調子が悪く、午後から調子が上がるといううつ病独特の変化を「日内変動」といいます。

    うつ病により、天候による影響もあるといわれています

    そして、天候による影響もあるといわれています。
    特に気圧が下がることで脳内のストレス制御機構へストレスが加わり、うつ状態を悪化させます。雨の日、天候が崩れるような日、台風などによる気象の変化をいち早く感じるようです。

    身近なあなたは、症状を気にかけてあげて、身体に負担をかけないようにサポートしてあげましょう。

  3. 第3段階精神症状の変化(赤信号)

    うつ病により脳の機能が低下すると、注意力・集中力が低下します

    うつ病は、脳の機能が低下することにより起こる病気です。脳の機能が低下すると注意力・集中力が低下します。気持ちが落ち込むといった感情の変化よりも先に物忘れをするといった認知機能が低下するようです。例えば、「本や雑誌など同じところを何度も読んでしまい、物語の筋が追えない」「いつも会っている人の名前が思い出せない」「言葉がうまく喋れない」「固有名詞が出てこない」など、日常の会話での違和感を覚えるようになります。

    また、記憶の中枢として知られる脳内の海馬などの機能低下が起こり、アルツハイマー病のように、一時的に記憶力の障害が目立つこともあります。

    さらに、感情も次第に乏しくなっていきます。趣味や関心ごとにもさっぱり楽しみを感じられない、何を見ても、聞いても感情がわかなくなります。例えば「バラエティー番組を見ても楽しいと思わない」「テレビを見るのも億劫」「音楽が耳障り」など日常生活が楽しくなくなります。早期には感情が異常に過敏になることもあります。急に怒り出したり、暴言を吐いたりしてしまいます。そうした行動をしてしまってから、なぜ自分が制御できない行動をしてしまったのか不思議がることも多くみられます。

    身近なあなたができる限り親身に寄り添ってあげることが重要です

    第3段階までくると本人はとてもつらい状況です。身近なあなたができる限り親身に寄り添ってあげることが重要です。精神科・心療内科にて診察を受けることを検討しましょう。

今までとは違う「小さな変化」に気づき、早期に対応することにより回復も良好となります。当院では、ご家族やパートナーの方は、ご本人に付き添って、ご一緒にご相談いただけますので、ぜひお気軽にご相談ください。

自殺のサインに気づくには

うつ病が悪化すると、自殺を考え、行動に起こす危険性があります。身近にいるご家族やパートナーが自殺のサインに気づくことが大切です。
例えば、「自分はダメな人間だ」「責任を果たすことができない」「みんなに迷惑をかけている」「いなくなりたい」など自責感が強い発言がみられる場合は、リスクが高まっているといえるでしょう。
このような様子がみられたり、リストカットなどが行われたりする場合は、なるべく早めに精神科や心療内科のクリニックを受診するようにしましょう。

「リストカット」に
悩んでいるご家族へ

過労死を予防するには

過労死を予防するには

ご家族やパートナーが、仕事で連日深夜残業だったり、休日出勤が続いたりして、疲れ切っている状態を身近で見ていると大変心配になるかと思います。
仕事上のストレスや過労で過労死することもありますので、事前の予防が大事です。
まずは、生活習慣の改善が基本です。規則正しい食生活、適度に継続的な運動、禁煙などに気をつけましょう。
健康状態では、生活習慣病といわれる肥満・高血圧・脂質異常症(高脂血症)・糖尿病などには注意が必要です。脳梗塞や心筋梗塞などの突然死の危険性を高めます。
日頃、会社の産業医や保健師、かかりつけ医などから、健康維持・改善のための指導を受け、ご家族やパートナーに共有し、実践することが一番の予防に繋がります。

うつ病へのご家族やパートナーの理解

ご家族やパートナーがうつ病になったら、まずはうつ病について正しく理解することが大切です。ネット上には様々な情報がありますので、うつ病について情報収集をお勧めします。

→うつ病

そして本人のつらい状況を理解し、受け止めてあげましょう。
また、本人が話をするようでしたら、きちんと聞いてあげましょう。話をじっくり聞いてあげるだけで気分がスッキリし、見守られているという安心感を与えることができます。
ご家族やパートナーは「どうしてうつ病になってしまったの?」「家族が原因?」など気になるかと思いますが、原因は複雑で特定しにくいことがあります。原因は探さず、今は本人に寄り添って、うつ病であることを一緒に理解してあげましょう。

ご家族やパートナーの理解

うつ病へのご家族やパートナーの対応

まずは安心して休養できる場を作りましょう。
そして、ご家族やパートナーがいつもと変わらない態度で接することで、本人はリラックスすることができます。周りが気を遣いすぎると本人が「まわりに迷惑かけてばかりいる」と感じさせてしまいますので要注意です。
また、「頑張ろう」などと励ましたり、「この先どうするの」など焦らせたりする言葉はいけません。
今まで頑張りすぎた結果、うつ病になっているケースが多いので、症状をさらに悪化させてしまいますので、気をつけましょう。
また、気分転換のために外に連れ出した方が良いと考えるかもしれませんが、逆効果です。
本人が楽しみたいという気持ちになってからにしましょう。
また、精神科や心療内科を受診する際は、ご家族やパートナーも付添ってあげましょう。

ご家族やパートナーの対応

うつ病へのご家族やパートナーの気づきについてよくいただく質問

重大な決断をしようとしています。家族としてどうしたら良いですか?
うつ病の時は、自責的な思いから、悲観的になりやすいので、人生の大きな決断をしがちですが、今はしてはいけません。ご家族やパートナーは本人に対して、決断を先送りにし、今は本人の健康を回復させることを最優先させるように促しましょう。
最近、パートナーが会社での人間関係に悩み、休みがちです。どのように対応したら良いですか?
職場の人間関係で悩み、ストレスを抱えている状況です。うつ症状がみられるようでしたら、精神科や心療内科を受診するように話してみましょう。状態によっては、休養が必要と診断され、仕事を休職し治療に専念する場合もあります。
→職場ストレス
日によって態度や様子が変わるので、戸惑っています。どのように接したらよいでしょう。
うつ病の症状は、調子が良い時と悪い時の波があります。悪い時は本人を責めず、良い時はなるべく感謝の気持ちを伝えるようにしましょう。
通院中の家族が、処方された抗うつ薬を飲みたくないといいます。どうしたらよいですか。
医師から処方された抗うつ薬を自己判断で服用を途中で止めるのは大変危険です。うつ病を悪化させる可能性があります。
薬を使わない新たなうつ病治療「磁気刺激治療(TMS)」を取り入れているクリニックもありますので、相談してみることもよいでしょう。
詳しくはこちら→磁気刺激治療(TMS)

家族やパートナーが理解しておくべき
「うつ病」に関連するコラム記事