悪性症候群
悪性症候群とは?
悪性症候群とは、抗精神病薬や抗うつ薬をはじめとした向精神薬で治療に取り組んでいるなかで、「発熱」「発汗」「意識障害」「手足の震えや身体のこわばり」「言葉が話しづらい」「飲み込みにくくなる」「筋肉の痛み」「頻脈」「血圧の上昇」などといった症状が現れるものを指しています。
とても急激に重篤な症状が現れることが特徴で、抗精神病薬や抗うつ薬などを服用したあとに、このような症状が現れる場合においては、悪性症候群の可能性が疑われることになります。
これらの症状は放置しておくことでさらに重篤な状態となることがありますから、迅速な対応が求められています。死亡率は約4%程度であると報告されています。
多くの場合は、坑精神病薬や抗うつ薬治療を開始してから数時間から2週間以内に発症するという早発型がほとんどで、それ以上の期間を費やして発症することは少ないことが分かっています。
抗精神病薬や抗うつ薬、抗不安薬、パーキンソン病治療薬、制吐薬など向精神薬はすべて悪性症候群のリスクがあると考えられており、服薬治療中だけではなく減薬や中断時においても症状が現れることがあると報告されています。
発生率は向精神薬治療を行っている人の約0.1%前後であり、薬剤の中止や減量を行ったときや疲労や脱水などが重なったとき、精神症状に憎悪がみられた場合などに発症することが多くなっています。
悪性症候群の症状
悪性症候群は、向精神薬の治療中に次のような症状が現れることが特徴です。
発熱
特にほかに原因もないのに急な発熱が見られます。37.5℃以上になることが多く、6割程度の人は39.0℃以上の高熱になることが報告されています。
意識障害など精神症状
多くの人に反応が鈍くなったり、反応がなくなってしまう意識障害がみられます。強い呼びかけに一瞬だけ反応を示すような「混迷」と呼ばれる状態や、精神状態が不安定になって興奮状態になることもあります。
ふるえやこわばりなど錐体外路症状
自分の意思とは関係なく、手足が震えだして止まらなくなったり、身体がこわばって動かしにくくなったりする錐体外路症状がみられます。また話しづらくなったり、食べ物が飲み込みにくくなったりもします。
自律神経症状
通常よりも急に心拍数が増加する頻脈や急に呼吸が早くなる頻呼吸が現れることがあります。血圧の上昇がみられたり、膀胱から尿を排出できない尿閉の症状が現れることもあります。
その他の症状
骨格筋を構成している筋細胞が障害を起こすことで筋肉痛や脱力してしまう横紋筋融解症や脳波が活動低下時の周波数の低い状態である徐波化がみられることもあります。また呼吸不全や腎不全、心不全などが現れることもあります。
上記のような症状が出た場合は、速やかに主治医へ相談してください。
決して自己判断で解決しないようにしましょう。また、現代は医学の進歩で薬を使わないうつ病の治療方法がありますので、なるべく心身に負担にならない治療を選択することも可能です。
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悪性症候群を引き起こす
可能性がある薬剤
悪性症候群は、抗精神病薬や抗うつ薬の副作用によって引き起こすものですが、精神科やメンタルクリニックなどで処方される薬剤だけではなく、さまざまな診療科で処方される向精神薬でのリスクも指摘されるようになりました。
そのため内科や外科などで使用される薬剤についても注意しなければなりません。
悪性症候群を引き起こす可能性がある薬剤には、「抗うつ薬」「抗精神病薬」「制吐薬(嘔吐を予防する薬)」が報告されています。特に報告が多いものは、抗精神病薬となっています。
抗精神病薬は近年開発が進んでおり、『アリピプラゾール』『クロザピン』『オランザピン』『リスペリドン』などが登場し、「第二世代」などと呼ばれることがあります。
第一世代と呼ばれる『クロルプロマジン』『フルフェナジン』『ハロペリドール』などよりも錐体外路症状が少ないという特徴を持っていますが、悪性症候群の発症にどれぐらい違いがあるかについては報告されていません。
また、抗うつ薬の中断や離脱時に副作用によって引き起こされるリスクがあります。注意する薬剤においては下図の通りです。
薬の種類 | |
---|---|
抗うつ薬 | トリプタノール・アモキサン・アナフラニール・イフェクサー・サインバルタ・トレドミン・ルボックス・デプロメール・ジェイゾロフト・パキシル |
抗精神病薬 (従来のもの) |
クロルプロマジン・フルフェナジン・ハロペリドール・ロキサピン(loxapine)・メソリダジン・モリンドン・ペルフェナジン・ピモジド・チオリダジン(訳注:日本では販売中止)・チオチキセン・トリフロペラジン |
抗精神病薬 (比較的新しいもの) |
アリピプラゾール・クロザピン・オランザピン・パリペリドン・クエチアピン・リスペリドン・ジプラシドン |
制吐薬 (嘔吐を予防する薬) |
ドンペリドン・ドロペリドール・メトクロプラミド・プロクロルペラジン・プロメタジン |
抗精神病薬や抗うつ薬は一時的に元気になったと勘違いしてしまうケースがありますが、自己判断で減薬や断薬を行うことは危険ですので、必ず医師の判断に従いましょう。
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悪性症候群と
セロトニン症候群の違い
悪性症候群は、抗精神病薬などの副作用によって脳内のドーパミンが急激に上昇することによって、数日から数週間か経って発症するものだと考えられています。
抗精神病薬などによる治療、もしくは薬剤の中止や減薬によって症状を引き起こします。意識障害や発熱、発汗、錐体外路症状、自律神経症状などの症状が現れます。
ドーパミンの上昇を抑えることによって少しずつ改善し、平均9日間程度で症状は治ってきます。
鑑別診断が必要な疾患として『セロトニン症候群』が挙げられます。
セロトニン症候群はセロトニンに作用するSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)などによって副作用を起こし、数分くらいから数時間で症状が現れるというものです。
セロトニン症候群では交感神経の刺激症状が多いですが、意識障害や発熱、発汗など一部の症状が悪性症候群と共通する部分も見られます。
ミオクローヌス(不随意運動)や反射亢進(反射異常)においては、悪性症候群よりもセロトニン症候群の方が頻度は高くなっています。
セロトニン症候群の改善は、セロトニンに対する作用を抑えることによって、24時間以内に改善することが多くなっています。
悪性症候群の早期発見・
早期対策のポイント
悪性症候群は、抗精神病薬や抗うつ薬をはじめとする向精神薬の副作用によって、発熱や発汗、意識障害、手足の震え、身体のこわばり、話しづらさ、飲みにくさ、頻脈、頻呼吸、血圧上昇などの症状が複数現れます。
特に副作用を起こす原因となった抗精神薬の増量時や減量時、中止時から数日~数週間で現れることが多くなっています。
- 他に原因もないのに急な37.5℃以上の発熱が見られる
- 反応が鈍くなったり、反応がなくなってしまう意識障害がみられる
- 精神状態が不安定になって興奮状態になる
- 手足が震えだして止まらない
- 身体がこわばって動かしにくい
- 話しづらい
- 食べ物が飲み込みにくい
- よだれが出て止まらない
- 通常よりも急に心拍数が増加している
- 急に呼吸が早くなる
- 血圧の上昇がみられる
- 膀胱から尿を排出できない
- 筋肉痛や脱力がみられる
このような気になる症状が複数現れているような場合であれば、悪性症候群が疑われるために、速やかに医師や薬剤師に相談するようにしましょう。薬剤の副作用ですから、迅速な対応が必要となります。状況によっては、入院して治療を受けることが必要となることもあります。
悪性症候群が疑われた場合、医師の判断のもとに、副作用を起こしている薬剤を特定する必要があります。
原因となっている薬剤を急に中止してしまうと、返って症状が悪化してしまうこともありますから、必ず医師の指示のもとに減薬や断薬を行わねばなりません。
薬剤を減量したり中止したりする方法については、その症状や状態に応じて行われることになります。
特に症状が強く現れている場合においては、入院して全身管理を行いながら点滴などによって薬物の排泄を促していくことになります。また症状の緩和に『ダントロレンナトリウム』という筋弛緩薬を静脈内投与されることもあります。
悪性症候群の診断基準と治療方法
悪性症候群の診断基準
悪性症候群は、いくつかの診断基準を活用して、以下の症状がいくつか現れていることによって悪性症候群と診断されます。
- 抗精神病薬での治療に取り組んでいる
- 発熱(ほかの原因がなく37.5℃以上)
- 錐体外路症状(手足の震え、身体のこわばり、話しづらさなど)
- 自律神経症状(血圧上昇・低下、頻脈、頻呼吸、発汗など)
- 意識障害
- 精神状態の変化
- 血清CKの上昇
- 白血球増多
- ほかの神経疾患や身体疾患によるものではない
- 精神疾患で説明することができない
診断基準は、「Levensonらの悪性症候群診断基準」「Popeらの悪性症候群診断基準」「Caroffらの悪性症候群診断基準」「DSM-Ⅳの神経遮断薬悪性症候群診断基準 」が活用されています。
悪性症候群の治療方法
悪性症候群は抗精神病薬や抗うつ薬をはじめとする向精神薬の副作用によって引き起こすものでありますから、早期発見し治療に当たることが必要となります。
一般的には強い症状が現れている場合においては、原因となっている薬剤を中止し、症状が軽微の場合であれば減薬に対するリスクを考慮しながら、段階的に中止していきます。
また、同時に全身管理をしながら、必要な臨床検査を行っていく必要があります。
症状を緩和させるために『ダントロレンナトリウム』という筋弛緩薬を静脈内投与することが第一に選択されることになります。
精神症状が強く現れている場合においては、抗不安薬を併用することもあります。
薬を使わないうつ病治療の選択を
品川メンタルクリニックは、薬に頼らないうつ病治療である「磁気刺激治療(TMS)」の専門クリニックです。
冒頭からお伝えしている通り、向精神薬や抗うつ薬には悪性症候群を引き起こすリスクがあります。また、これらの薬剤については、効果が現れるまでに数週間から数ヶ月要することもあり、その間に悪性症候群だけではなくさまざまな副作用を起こすことも珍しくありません。
しかし、一般的な精神科やメンタルクリニックにおいては、問診だけで処方されることが多く、 なかなか効果が実感できずに副作用ばかりが目立ってしまうということも少なくはありません。
近年では薬に頼らない新しいうつ病治療である「磁気刺激治療(TMS)」も選択が可能であり、副作用の心配がない治療ができます。
新たなうつ病治療
「磁気刺激治療(TMS)」とは
品川メンタルクリニックでは、新たなうつ病治療「磁気刺激治療(TMS)」によって、脳の働きが弱まっている部分に直接磁気刺激を与え、うつ病を改善させる治療を行っています。
うつ病治療には、SSRIなどの薬剤を用いることが一般的な治療となっていますが、薬の効果が現れるまでに数週間から数ヶ月を要することもあり、場合によっては効果が全く実感できないこともあります。
さらに薬を服用し続けることで、副作用のリスクも高まってしまい、悪性症候群はセロトニン症候群の可能性も高くなってしまうのです。
うつ病の原因は心の問題ではなく、脳の働きが低下することによって引き起こされると考えられています。機能低下した脳に磁気刺激治療(TMS)でアプローチすることにより、血流を促進してうつ病の回復へと促します。
電気けいれん療法とは異なり、入院を必要としないため休職などの心配もありません。
働く人にも画期的なうつ病治療です。
今まで薬剤において治療して効果が感じられなかった人でも、磁気刺激治療(TMS)の場合、約1ヶ月半~6ヶ月程で回復が可能です。
また磁気刺激治療(TMS)は、12歳以上の中学生、妊婦も受けることのできる安心・安全な治療法です。
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診断をより的確に
「光トポグラフィー検査」とは
品川メンタルクリニックでは、「光トポグラフィー検査」を導入しており、脳内の血流量を的確に捉えることで的確にうつ病診断を行うことができます。
一般的な精神科やメンタルクリニックにおいては、主に問診によってうつ病など精神疾患の診断を行っています。
しかし、うつ病と診断された人のなかには、 双極性障害(躁うつ病)など別の病気であることが多いということが指摘されています。
光トポグラフィー検査の場合、検査結果はグラフデータ化され、うつ病・双極性障害(躁うつ病)・統合失調症・健常の4つのパターンで結果が現れます。
また、光トポグラフィー検査の結果と医師の問診を併せて行いますので、より的確な診断が可能です。
うつ病治療に適切に取り組むためには、より的確に診断してもらうことが大切です。
そのために必要な検査が、品川メンタルクリニックで取り組んでいる「光トポグラフィー検査」なのです。
状態を的確に知ることが大切です!
うつ病かどうかをグラフデータで診断サポート!
品川メンタルクリニックは「光トポグラフィー検査」「磁気刺激治療(TMS)」を専門に行なっているクリニックです。土日祝日も診療が可能であり、診療時間は10:00~19:00とお仕事帰りにも通院しやすいです。
ご自身の都合で治療の計画を立てることが可能ですので、無理なく安心して通院できます。
薬の副作用でお困りの方、薬の治療に抵抗がある方など不安に思うことがありましたら、いつでも気軽にご相談にいらしてください。
ストレスやうつ症状について
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品川メンタルクリニックはうつ病かどうかが分かる「光トポグラフィー検査」や薬を使わない新たなうつ病治療「磁気刺激治療(TMS)」を行っております。
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