甘いもの好きな人必見! 砂糖依存症について

甘いもの好きな人必見!砂糖依存症について
甘いもの好きな人必見!砂糖依存症について

疲れていると甘いものが食べたくなったり、食後はデザートがほしかったり。甘いもの好きの人にとって、甘いものは人を幸せにする癒やしの効果があります。
ですが、甘いものがないとイライラしたり、四六時中甘いものが欲しかったりしたら、それは「砂糖依存症」かもしれません。

ふだんから甘いものが大好きで、
「甘いものを食べると落ち着くけど、最近妙にイライラする」
「何もしていないのに疲れやすくなった」

と感じたら、甘いものが原因で体調に変化が出ている可能性があります。砂糖の過剰摂取を続けると、糖尿病の発症が心配なだけでなく、骨粗鬆症やうつ病の原因になることもあるのです。

砂糖依存症とは?

みなさんは砂糖に依存性があることをご存じでしょうか?
毎日食べるほどにもっと食べたくなり、それが積み重なっていくことでさらに食べたい欲求を加速させていきます。こうして発症してしまう砂糖依存症(糖質依存症)とは何か、詳しく見ていきましょう。

砂糖依存症の特徴

砂糖依存症とは、砂糖を大量には摂らずにいられない、いわゆる「甘いもの中毒」のことです。砂糖は「マイルドドラッグ」とも呼ばれ、薬物やアルコール並の中毒性・依存性があるといわれています。
健康な体であれば食後のデザートくらいの甘いものを口にすれば満足できますが、砂糖依存症を発症すると大量に食べないと欲求が収まらなかったり、四六時中甘いものを口にしていないと落ち着かなくなったりします。
特に、極端なダイエットや妊娠・出産・成長期など体の栄養バランスが大きく変化しているときは要注意です。何らかのきっかけで、砂糖を常用し、耐性ができることによって、砂糖の摂取をやめたときに禁断症状を引き起こす場合は、砂糖依存症の可能性があります。

砂糖依存症の原因

砂糖依存症は、必ずしも甘いもの好きの人だけに起こるわけではありません。砂糖は清涼飲料水やパン、スープなどの加工食品、調味料などにも含まれている成分です。ふだん甘いお菓子を食べない人もそれと思わず糖質を摂取しているため、脳がその味を覚えて「必要だ」と感じてしまい、砂糖依存症になる可能性があります。ここでは、砂糖依存症が起こるメカニズムをご説明しましょう。

<砂糖依存症に陥るメカニズム>

食べ物から摂取された糖質(ごはんなどの炭水化物、ケーキなどの甘いもの)は体内の消化酵素によって分解され、ブドウ糖に変化します。血中に溶け込んで全身をめぐり、血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)を上昇させます。糖の中でも砂糖は分子が小さいために体内でブドウ糖に分解されやすく、特に栄養を吸収しやすい状態にある空腹時に砂糖を摂取すると血糖値が急上昇します。
その結果、血糖値を下げる働きのあるインスリンが一気に分泌され、血糖値が急低下します。いわゆる低血糖が引き起こされます。体が低血糖になると、脳はそのエネルギー不足を「お腹が空いている」と勘違いし、「糖分を摂取して血糖値を上げろ」と指令を出します。
つまり、砂糖を急激にたくさん摂ると逆に血糖値が下がり、お腹が空いているわけでもないのに繰り返し「砂糖=甘いもの」を食べたくなる、という現象が起きるのです。
さらに、砂糖には幸福感や癒やしを感じさせるドーパミンやセロトニン、ノルアドレナリンなど脳内神経伝達物質の分泌を促す働きがあります。
これらは日常のストレスをやわらげるためにも大切な物質ですが、「糖質を食べると、幸せが感じられる」状態が頻繁に繰り返されると、脳はこの快感がクセになります。
そのため、砂糖に麻薬のような依存性があるといわれています。
砂糖依存症とは、「快感を得るためには、糖質を摂らなければいけない」と脳が勘違いしている状態ともいえます。

砂糖依存症の症状

砂糖が好きならみんなが砂糖依存症というわけではなく、甘いものが嫌いだから砂糖依存症ではないとも言い切れないのがむずかしい砂糖中毒。現代には糖質を含む食品がたくさんあり、炭水化物過多になりやすいファストフード、コンビニ弁当、レトルト食品などの食事が多い人も注意が必要です。自覚していなくても、最近以下のような症状が現れていたら食生活を見直しましょう。

<砂糖依存症の症状>

  • 甘いものを食べないと落ち着かず、我慢しているとイライラする
  • ストレスを感じると甘いものが食べたくて仕方なくなる
  • チョコレートやアメを持ち歩き、ことあるごとに甘いものを食べている
  • 妙に疲れやすく、甘いものを食べると元気になる
  • 短時間の労働などでめまい・立ちくらみなどを感じる

この他、以下のような疲労やうつ病などにも似た倦怠感などの症状が出やすくなる傾向もあります。

  • 頭痛がする
  • 集中力がない
  • 落ち込みやすい
  • 怒りっぽい
  • 手足が冷える
  • 朝起きるのが辛い

これらの症状は、低血糖やビタミンB1不足によるものだといわれています。
気分を落ち着かせるためや、ストレス発散のために食べていた甘いものですが、過剰摂取が続くと、逆に心身を疲れさせてしまうことも。何気なく食べてしまいがちなおやつは、それが食べ過ぎかどうか一瞬考えるクセをつけるだけでも、口に入る糖質の量をコントロールしやすくなるはずです。
また、疲労やうつ病に似た症状が長期間続く場合は、うつ病を併発している可能性も少なくはありません。
うつ病かもと思いあたる症状があった場合は、早めに専門の医療機関へ相談しましょう。

ストレスやうつ症状について
ぜひご相談ください!

砂糖の量を
普段から意識してみましょう

多くの砂糖が含まれている食品

砂糖は、過剰摂取が問題なのであって、体にとってはなくてはならない五大必須栄養素のひとつです。しかし、1日の砂糖摂取制限量は20gと決まりがあります。これがどのくらいの量か、次のグラフデータと照らし合わせながらご説明していきましょう。

砂糖が多く含まれる食品(角砂糖1個/4g)
砂糖の含有率
コーラ500ml 約56.5g
アイスクリーム(1個/100g) 約32g
ショートケーキ(1個/110g) 約30g
スポーツドリンク500ml 約24g
チョコレート(1枚/50g) 約22g

コーラやスポーツドリンク1本、ショートケーキ1つで1日の摂取制限量20gを超えているのがわかりますね。1日の食事には、これに料理で使う砂糖やみりん、根菜や主食の炭水化物などが加わります。
私たちの身の回りには糖質を含む食べ物や飲み物が多く、普通に生活しているだけで簡単に糖質の摂取制限量をオーバーしてしまうのです。
ストイックな糖質制限をする必要はありませんが、この事実を頭の片隅におき、甘い飲み物を控えるなどできることから少しずつ砂糖依存症のリスクを減らしていきましょう。

砂糖依存症の対処法

どんな食品にも入っている糖質を完全にカットすることは難しく、甘いものが好きな人にとって甘いものをまったく食べてはダメと言われるのはつらいことです。
しかし、砂糖依存症にはきちんとした対処が必要。生活の中で無理なく砂糖摂取をコントロールするコツをお伝えします。無理はせず、少しずつ実践していきましょう。

・甘いものを身の回りに置かない
会社のデスクの引き出しやキッチンの戸棚など、目に入りやすい場所やすぐ手が届く場所にお菓子を置くのはやめましょう。また、通勤の行き帰りや待ち合わせ時など、なんとなくコンビニに寄ってしまうクセがある人は「コンビニに寄らないクセ」をつけましょう。コンビニ通いは甘いものを買ってしまう一番の原因です。
・おやつはフルーツや芋、栗などを食べる
小腹が空いたり、甘いものが食べたくなったときは、フルーツやドライフルーツ、さつま芋、栗などを食べるようにしましょう。飲み物にはちみつなど自然由来の甘みをプラスするのもおすすめ。ただし、食べ過ぎては本末転倒なので、しっかり噛んで食材を味わうなどして、食べる量には十分な注意を払いましょう。
・ビタミン、ミネラルを豊富に含む食事を心がける
玄米や豚肉、野菜を中心としたビタミンB群やミネラルが豊富に含まれる食品を意識的に摂りましょう。これらの成分は甘いものの過剰摂取で不足した栄養素を補い、脳が砂糖を欲しがってしまう負のサイクルに歯止めをかけてくれます。

また、「疲れたから甘いものを食べる」のではなく、疲れたときはゆっくり休むことで疲れを取りましょう。イライラして仕方がない!という日が続くなら、ウォーキングやストレッチなど体を動かしてみるのもおすすめです。
夜更かしはやめて十分な睡眠を取る、食事の時間やバランスを見直すなど、規則正しい生活を心がけると、驚くほどはやく不調も改善されていくことでしょう。

糖尿病だけではない?
砂糖依存症による病とは

糖尿病だけではない?砂糖依存症による病とは

砂糖依存症はうつ病へのリスクも増える

糖尿病だけではない?砂糖依存症による病とは

砂糖の摂りすぎは糖尿病のリスクを高める、というのは周知の事実。しかし、砂糖の過剰摂取による弊害はそれだけではありません。

【砂糖の過剰摂取によって起こる可能性のある疾患】

  • 肥満
  • 糖尿病
  • うつ病
  • アルツハイマー
  • 動脈硬化
  • 腎臓病
  • 肝障害
  • 骨粗鬆症
  • 白髪
  • 肌のたるみ、しわ、くすみ

これらは生活習慣や遺伝的な要素なども関係する疾患で、砂糖の過剰摂取だけが問題ではありません。しかし、砂糖もひとつの原因になることは覚えておく必要があるでしょう。

<砂糖摂取による「うつ病」のリスク>

糖質は体内で分解されてブドウ糖になり、これが代謝機能に働きかけることでエネルギー源に変わります。糖の分解にはビタミンB群やカルシウムなどが必要ですが、それらは体温の維持や食べ物の消化、脳を正常に働かせるためにも重要な栄養素です。
しかし、甘いものをたくさん食べると、体内に入ってきた大量の糖分を分解するためにビタミンB群やカルシウムがどんどん使われます。すると、体を正常に働かせる栄養素があちこちで不足し、さまざまな弊害が起こるようになるのです。
砂糖依存症がうつ病を併発させるといわれる原因は、「栄養不足」がひとつとされています。エネルギーをつくりだすための素材(糖質)はあっても、道具(ビタミンB1)がないために脳神経がガス欠状態になってしまうのです。
それによって気持ちはどんどん不安定になり、興奮したり、落ち込んだり、すぐにイラついたり、緊張したりと、うつ症状が出やすくなっていきます。
うつ病を併発した場合は、うつ病の専門的なケアが必要です。
うつ病は早めの発見と治療で、早期回復ができる病気です。

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砂糖依存症セルフチェック

甘いものが好きな人の多くは、「甘いもの好き」を病気とは思っていません。本当にただ甘いものが好なだけなのか、砂糖依存症なのか、以下の質問でチェックしてみましょう。

  • 甘いものを食べないと満足できない
  • 甘いものをしばらく食べていないとぼんやりしてしまう
  • お腹は空いていないのに甘いものを何かしら食べたくなる
  • 一口だけのつもりだったのに、目の前のお菓子を食べきるまで止まらなくなってしまうことがしばしばある
  • 年々甘いものを食べる量が増えてきている
  • 甘いものを食べると気分がスッキリする
  • 甘いものを控えようと思っていてもやめられことがない

当てはまる数が多いほど砂糖依存症の可能性は高いですが、1つでも思い当たることころがあれば、上記にある「砂糖依存症の対処法」を実践していきましょう。

うつ病セルフチェック

砂糖依存症はうつ病と深い関係にあります。砂糖依存症チェックで「もしかしたら」「当てはまる」と感じた方は、一度うつ病のセルフチェックも行ってみることをおすすめします。

うつ病は症状が重くなるほどに、治療が難しく、治療期間も長くなってしまう病気です。発症する前に手を打つのが一番で、発症してしまったとしても症状が軽いうちに、すばやく治療をスタートさせることが大切です。

  • 砂糖依存症のチェックではどれもあてはまらなかったけど、毎日体がだるい
  • 何に対してもやる気がでない

そんな方にもうつ病セルフチェックは有効でしょう。
セルフチェックのポイントは当てはまる症状が、2週間以上続いている場合、精神科や心療内科への受診が必要と考えてもよいでしょう。

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品川メンタルクリニックの
心身の負担にならない治療方法

品川メンタルクリニックが大切にしているのは、患者さんの負担にならない治療を行うこと。そして、患者さんの抱えた心のモヤモヤに寄り添い、一緒に病気を治していくことです。品川メンタルクリニックでは以下のような検査と治療を行っています。

今の状態を客観的に知る
「光トポグラフィー検査」とは

脳の血流を数値でグラフ化する厚生労働省認可の検査です。
人はストレスがたまると脳の血流が悪くなることから、うつ病は脳の病気であり、血流が悪くなった状態が続くことで精神面にも大きな影響が出ると考えられています。
この検査では、安全な近赤外光で頭部の血流量を測定し、健常、うつ病、双極性障害(躁うつ病)、統合失調症のパターンをそれぞれ判別していきます。
1回の検査時間は約15分。検査前に行う問診と合わせて状態を分析していくため、精度の高い診断を行えるところが特徴です。

状態を的確に知ることが大切です!
うつ病かどうかをグラフデータで診断サポート!

薬を使わない新たなうつ病治療
「磁気刺激治療(TMS)」とは

薬を使わないうつ病の新しい治療法です。磁気刺激治療は、うつ病によって血流の悪くなった背外側前頭前野(判断、意志、興味などに働き、恐怖や不安、悲しみ、自己嫌悪などの感情をつかさどる扁桃体のバランスを整える脳)を磁気で刺激し、脳を正常に働かせていきます。
治療による副作用がほとんどなく、1回の治療時間は約20分と短いのが特徴。1ヵ月半~6ヵ月という短い治療期間で効果が出やすいところもメリットといえます。
品川メンタルクリニックで行われた治療ではこれまで約8割の人に症状の改善が見られています。

短期間の治療が可能です!
薬に頼らない新たなうつ病治療があります!

クリニックとして効果の高い治療を行うことは大前提ですが、砂糖依存症から併発したうつ病など、暮らしの中に潜んだ病気の根源を見つけ出すには、患者さんとのコミュニケーションが何より大切だと私たちは考えています。不安や心配ごとをひとりで抱え込まず、ぜひ一度、品川メンタルクリニックにご相談ください。

渡邊 真也

監修

渡邊 真也(わたなべ しんや)

2008年大分大学医学部卒業。現在、品川メンタルクリニック院長。精神保健指定医。

品川メンタルクリニックでは、うつ病かどうかが分かる「光トポグラフィー検査」や薬を使わない新たなうつ病治療「磁気刺激治療(TMS)」を行っております。
うつ病の状態が悪化する前に、ぜひお気軽にご相談ください。

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