梅雨時期はうつになりやすい~不快指数もメンタルに影響する?~

梅雨時期はうつになりやすい~不快指数もメンタルに影響する?~
梅雨時期はうつになりやすい~不快指数もメンタルに影響する?~

近年「六月病」になる人が増えているようです。
「五月病」というと一般的ですが、六月病というとまだ聞きなれない人も多いのではないでしょうか。
この五月病というものは正式な病名ではありませんが、五月病と同じように6月を境に仕事に行けなくなったり、学校に行けなくなったり、不眠に悩まされたりすることからそのように呼ばれています。
この六月病は、職場や学校での人間関係などのストレスだけではなく、梅雨時期も影響しているようです。
ここでは梅雨時期に多くなるうつ病「六月病」についてお伝えしていきたいと思います。

梅雨時期はうつ病を発症しやすい?

梅雨時期になるとうつ病で悩まされる人が増えるといわれています。その理由は以下の通りです。

  • 湿度がかなり高くなり、快適に過ごすことができない
  • 気圧の変化が激しい時期なので、自律神経が乱れてしまう
  • ホルモン「メラトニン」や「セロトニン」の分泌低下

詳しく見ていきましょう。

湿度がかなり高くなり、
快適に過ごすことができない

梅雨時期に入ってしまうと、晴れる日よりも圧倒的に雨の方が多くなります。しかも夏を手前にして、蒸し暑く感じることも多く、湿気が多いことからジメジメします。
暑い日でもカラッと晴れている日であれば、とても快適に過ごすことができます。もちろん汗はかきますが、ジメジメすることがないからです。
地域にもよりますが、梅雨時期の湿度はおおよそ80%。おおよそ70%を超えると蒸し暑く感じるといわれています。梅雨時期は一年の中でも最も湿度の高い時期になりますので、とても過ごしにくいことがわかります。

気圧の変化が激しい時期なので
自律神経が乱れてしまう

気圧には高気圧と低気圧があり、高気圧が近づいてくると晴れ間が多くなり、低気圧が近づいてくると雨が多くなります。梅雨時期にはこの気圧の変化が激しくなることが分かっています。
私たちの体はこの気圧の変化に対応するために、自律神経によって調整できるようになっています。
ただ梅雨時期のように外部環境が激しくなってしまうことで、自律神経の対応が追いつかなくなり、体調を崩してしまいます。
そのため梅雨時期の体調不良は、「気象病」と呼ばれることもあります。

ホルモン「メラトニン」や
「セロトニン」の分泌低下

晴れる日が少なくなると、メラトニンが分泌しにくくなるといわれます。メラトニンは睡眠を誘発するホルモンですので、梅雨時期には不眠で悩む人が増えてしまうのです。
このメラトニンは朝日をしっかり浴びることで、夜になると分泌量が増え、睡眠を誘発することが分かっています。
さらに日照時間の影響は、神経伝達物質「セロトニン」にも影響して分泌量が減ってしまいます。
このセロトニンは「幸せホルモン」と呼ばれることもありますが、分泌されることで好きだと感じたり楽しいと感じたりすることができます。
セロトニンの分泌量が減ってしまうと、イライラするなど感情が安定しないことが多くなり「うつ病」の原因になるといわれています。
梅雨時期である6月は、一年間の中で日照時間が一番短い月ですから、どうしてもこれらのホルモン分泌量が低下してしまうのです。

不快指数とうつ病の関係

梅雨時期となる6月に差し掛かると雨の日が多くなり、とても過ごしにくくなります。
雨が多いだけでも憂うつな気分になることは多いですが、 とても蒸し暑く感じることも多く、毎日の生活だけでも不快に感じます。
日本気象協会では現在がどれぐらい不快なのか数値化し、「不快指数」と呼んで発表しています。
この不快指数とうつ病には密接な関係があると言われます。詳しくお伝えしていきましょう。

不快指数とは

日本気象協会の公式サイトには、全国各地の「不快指数」を公表しています。不快指数とは気温や湿度から計算された数値データで、数字が大きくなればなるほど蒸し暑く感じ、不快度が高いといえます。
この不快指数には5段階のレベルで発表されており、「70未満」「70~74」「75~79」「80~84」「85以上」 となっています。この5段階のレベルにおいて80以上になると、 かなり蒸し暑く不快に感じます。
この不快指数は、「0.81×温度+0.01×湿度(%)×(0.99×温度-14.3)+46.3」という計算式を用いて数値化されています。
例えば、気温20°で湿度50%の場合であれば、不快指数は65.25でかなり快適な気候です。
気温30°で湿度70%の場合であれば、不快指数は81.4となり、かなり蒸し暑く感じる不快な気候であると言えます。
東京のデータを見てみると、2018年6月の最高気温の平均は26.6度。最高は32.9度となっています。湿度は平均で80%です。平均値をとっても、不快値は77.5%と高くなっていますので、過ごしにくい日が多いことがデータでも分かります。

なぜ不快指数がうつ病に関係しているのか

不快指数が高い梅雨時期は、気温や湿度が高くなっていますので、日常生活においてとても過ごしにくい季節だといえます。
この時期には、 関節痛や頭痛、めまいなどを訴える人がとても多くなります。過ごしにくいというだけではなく、体調を崩すことが多くなる時期でもあるのです。みなさんの周りにも、この時期になると決まって体調を崩すという人がいるのではないでしょうか。
雨が降っているだけではなく、むしむしと過ごしにくいので、イライラしたり落ち込みがひどくなったり、不眠になるといった、うつ症状が表面化しやすくなります。
そのような症状のままでいると、体にストレスが蓄積していきますので、うつ病が本格化してしまうのです。そのため梅雨時期の精神科や心療内科などの、クリニックを受診する人が多くなってくるのです。

うつ病でお悩みの方

梅雨時期は誰でもうつ病になる可能性がある

梅雨時期において不快になるのは、気温と湿度の高さによる不快指数だけではありません。
梅雨時期は季節の変わり目で、じとじと降る雨が続いたり、晴れ間が出てきてとても暑い日になったり、日によって大きく気圧が変化します。
この気圧の変化は私たちの体に大きな負担をかけることになり、体に不調をきたす人が多くなります。
梅雨時期が近づいてくると、古傷の膝関節に痛みが生じ、歩きにくくなるという人がいます。 また、日によっては肩こりがひどくなり、頭痛も伴って気分が悪くなる人もいます。
これらは気象の変化によって体調に影響を与えているもので、「気象病」などといわれることもあります。
私たちの体は、外部環境の変化に対応するように自律神経が調整していますが、 あまりに外部環境の変化が激しいときにはついていけずに体調を崩してしまうのです。
またそのような体調の変化が大きなストレスとなって、うつ病を発症させる原因になることもあるのです。
気温の変化が激しい季節においては、それだけ自律神経の負担も大きくなります。交感神経と副交感神経への切り替えが頻繁に行われることになるからです。
さらに雨の日が続くと日照時間が少なくなります。メラトニンはセロトニンといったホルモンのバランス分泌が低下するために、不眠となって睡眠不足になったり、気分の落ち込みが激しくなったりすることもあります。
このように梅雨時期を捉えてみると、誰でもうつ病になる可能性があります。気になる人は早めに専門医に相談するようにしてください。

梅雨時期のうつ病を防ぐポイントとは?

梅雨時期はうつ病になりやすい時期であるといえますが、ストレスの原因となるものを取り除くことができれば、うつ病になるリスクは低くなります。
仕事のストレスや人間関係においては、なかなか取り除くことはできないかもしれませんが、そのストレスをうまく解消することでうつ病を予防することができるのです。
梅雨時期のうつ病を防ぐポイントとして、日常的にどのような過ごし方をしていれば効果的なのかお伝えします。

うつ病を防ぐための梅雨時期の過ごし方

梅雨時期は雨が多く、ジメジメとうっとうしい日がどうしても続きます。気分が憂うつになりますので、外出せずに引きこもりがちになったり、運動不足や不眠などの影響も現れることがあります。
そのような原因によってうつ病になってしまうことがありますので、生活習慣を見直してこの時期を乗り越えるようにしましょう。

  • 1. 規則正しい生活を心がける

    規則正しい生活を心がける
    規則正しい生活を心がける

    生活リズムの乱れは、この時期においてはうつ病の原因になりやすいといえます。夜更かしせずに、早寝早起きを意識的に心がけるようにしておくことがいいでしょう。特に晴れている日には朝日をしっかり浴びるようにすると、しっかりと眠れるようになります。また食事を摂取する時間にも配慮するようにしましょう。

  • 2. 適度な運動を心がける

    適度な運動を心がける
    適度な運動を心がける

    雨が降っていると外出機会が減ってしまいがちになりますので、運動不足になってしまいます。運動不足になると血液の循環が悪くなり、自律神経が乱れてしまうこともあります。室内で軽い運動することでも十分効果があります。

  • 3. お風呂でしっかりと疲れを取る

    お風呂でしっかりと疲れを取る
    お風呂でしっかりと疲れを取る

    入浴は、就寝時間の1時間半後から2時間前までに入ると、質の良い睡眠につながりますので効果的です。熱めのお湯は避けて、ぬるめのお湯で半身浴をするとリラックスすることができます。

職場では六月病にも注意が必要

職場では六月病にも注意が必要
職場で六月病にも注意が必要

冒頭にもお伝えしましたが近年「六月病」が増えています。
六月病というのはまだまだ聞き慣れない人も多いでしょう。正式な病名ではありませんが、五月病と同じように6月になるとメンタルの不調を訴える人は多くなることに由来している名称です。
新年度が始まる4月には、新しい環境で生活が始まる人が多くなります。緊張した4月が過ぎ、ゴールデンウィークが明け五月病にならないように緊張していたメンタルがピークとなり、6月になるとうつ病などの症状が出てくるというものです。
特に梅雨時期は、ジメジメとした天気が続く嫌な季節であり、元気な人であっても心がどんよりとしてしまうものです。
また梅雨時期は気圧の変動によって自律神経に支障をきたし、体調不良を起こしやすくなります。
これらすべてが原因となって、うつ病となりますから注意が必要な時期なのです。
また、この時期のうつ病は新社会人より、長年勤めた社会人がかかりやすいといわれています。
長年勤めた社会人は、もちろん新年度や五月病への意識に慣れています。今までの社会経験の中で「気合いで乗り切る」という人も多いでしょう。
しかし、6月には祝日もありませんので、ゆっくりと体を休める時間が少なくなります。長年勤めて蓄積してきた疲れやストレスが原因となって、うつ病となってしまうのです。
この時期にうつ病になる人のなかには
「自分だけはうつ病に絶対ならない」
と考えている人も少なくありません。
そのため決して自分自身を過信することなく、うまく梅雨時期を乗り越えることが大事です。

うつ病やストレスは早期治療が大切

梅雨時期になって「疲れが取れない」「夜ぐっすりと眠れない」「意欲がわかない」「イライラする」など、気になる症状が現れているのであれば、すぐに品川メンタルクリニックにご相談ください。
梅雨時期は他の時期と比べてもうつ病になりやすい時期ですし、不快指数や気圧の変化などによって、今までうつ病になったことがない人でも注意が必要です。
品川メンタルクリニックでは、うつ病によって伴う精神症状を軽減させるため、積極的に治療を行っております。
うつ病の改善は、早めの発見・治療がより早い解決方法です。
特に、一般のメンタルクリニックを受診して、抗うつ薬を開始したのにも関わらず、症状が改善しないという人であれば、品川メンタルクリニックが行う薬を使わない新しい治療法「磁気刺激治療(TMS)」をお勧めします。
副作用の心配がなく、抗うつ薬での治療と比べ比較的短期間で効果を実感することができます。
「磁気刺激治療(TMS)」は、12歳以上(中学生)から治療を行うことが可能です。梅雨時期のつらい症状で悩んでいるのであれば、ぜひ品川メンタルクリニックにご相談いただきたいと考えています。

渡邊 真也

監修

渡邊 真也(わたなべ しんや)

2008年大分大学医学部卒業。現在、品川メンタルクリニック院長。精神保健指定医。

品川メンタルクリニックはうつ病かどうかが分かる「光トポグラフィー検査」や薬を使わない新たなうつ病治療「磁気刺激治療(TMS)」を行っております。
うつ病の状態が悪化する前に、ぜひお気軽にご相談ください。

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